12. 語調 (Pragmatic)
語調は、話し手の文全体への主観的評価と、聞き手との関係性(語調)の調整をマークする子音+母音の複合接辞。極性(第11スロット)の直後(第12スロット)に付加され、動詞語形の最終スロットを構成する。
| マーカー | 音素 | 機能の主軸 | 簡潔な役割 |
|---|---|---|---|
| 歓喜評価 | la | 価値評価(喜び) | 極端に肯定的な感情を表明し、喜びのトーンで強調。 |
| 悲哀評価 | ru | 価値評価(悲哀) | 極端に否定的な感情を表明し、悲しみのトーンで強調。 |
| 伝達確認 | ma | 対話調整(確認) | 聞き手に対し、情報の確認や同意を促す。「〜だよね?」。 |
| 驚愕提示 | ko | 主観提示(驚き) | 予想外の出来事に対する強い衝撃を表明し、驚きのトーンで提示。 |
| 対比提示 | si | 対話調整(対比) | 聞き手の予想を裏切る情報を強調して対比させる。「実はね」。 |
| 緩和調整 | ze | 対話調整(配慮) | 発言の断定的な調子を和らげ、聞き手に配慮するトーンを加える。 |
12.1 歓喜評価 (Joyful Evaluation)
形式: la [la]
発話全体に強い喜びや満足のトーンを加える。感情の解放を伴う。
例: 「勝ったぞ!(歓喜)」
12.2 悲哀評価 (Sorrowful Evaluation)
形式: ru [ru]
発話全体に強い悲しみや落胆のトーンを加える。感情の抑圧と震えを伴う。
例: 「全てが終わった(悲哀)」
12.3 伝達確認 (Confirmation)
形式: ma [ma]
文末に付加され、聞き手の理解や同意を求めたり、情報を念押ししたりする。対話的な機能が強い。
例: 「彼は来るよね?」
12.4 驚愕提示 (Astonishment)
形式: ko [ko]
話し手にとって予想外の、衝撃的な情報であることをマークする。感情の急な高まりを伴う。
例: 「彼が犯人だったなんて(驚愕)」
12.5 対比提示 (Contrastive)
形式: si [si]
発話内容が、聞き手や一般的な予想と異なること、あるいは情報に強い焦点があることを示す。日本語の「〜だよ、ほら」やインドネシア語の「sih」に近い機能。
例: 「私は行かないんだよ(あなたが行くと思っているだろうけど)」
12.6 緩和調整 (Mitigation)
形式: ze [ze]
発言の断定的な響きを和らげ、聞き手に配慮するトーンを加える。謙虚さや不確実性を表現する。
例: 「それは良い考えかな」