5. 態 (Voice)
態は、動詞が示す行為と、その行為者および被行為者の間の関係性を表現する子音接辞。文法アスペクトの直後(第5スロット)に付加される。
5.1 能動態 (Active Voice)
形式: ∅(接辞なし)/ m [m]
主語が動作を自ら行う行為者であることを示す。最も基本的な行動の表現。文法アスペクトがデフォルトの中立相である場合、態の接辞も接辞なしで表現される。文法アスペクトが接辞を伴う場合は m が付加される。
5.2 中動態 (Middle Voice)
形式: n [n]
主語が動作を行うものの、その動作が自動発生的に主語自身に影響を及ぼす、または主語自身のために行われることを示す。行為が主語の内部や自己の領域内で完結するニュアンスを持つ。
5.3 受動態 (Passive Voice)
形式: l [l]
主語が、他者や外部からの動作の受け手となることを示す。
5.4 反射態 (Reflexive Voice)
形式: y [j]
主語が動作を行い、その動作が主語自身に反射することを意味する。行為が自分自身に対して行われることを強調する。中動態と比べて、意図的に行うというニュアンスが強い。
5.5 使役能動態 (Causative Active Voice)
形式: k’ [kʼ]
主語が、別の対象に(能動的に)動作を行わせることを示す。他者への強い働きかけを伴う。
5.6 使役中動態 (Causative Middle Voice)
形式: x [x]
主語が、別の対象に動作を行わせるものの、その行為が別の対象自身に影響を及ぼす、または別の対象自身のために行われることを示す。行為が、自らの意志や本質から出たかのように見えるニュアンスを含む。仕向ける。
5.7 使役受動態 (Causative Passive Voice)
形式: s [s]
主語が、別の対象に動作を行わせられることを示す。主語が「〜させられる」という、他者からの強制を受ける状態。
5.8 使役反射態 (Causative Reflexive Voice)
形式: w [w]
主語が、別の対象に自分自身に関わる動作を行わせることを示す。自分自身に「〜させる」ことを強制するニュアンスを含む。