疑問文 (Interrogative Sentences)

プリャンナにおける疑問文は、大きく分けて 真偽疑問文内容疑問文 の二種類が存在する。それぞれ異なる形態論的・統語論的メカニズムによって形成される。


1. 真偽疑問文

真偽疑問文は、文の最後に語調 (Pragmatic)(第12スロット)の伝達確認のマーカー  ma を付加することで形成される。

さらに、証拠性 (Evidentiality) (第10スロット)と組み合わせることで、話し手の確信度合いに応じた、ニュアンスの異なる二種類の疑問文を表現することができる。

1.1. 純粋な質問 (Pure Question)

話し手が答えを知らず、純粋に事実を確認したい場合に用いる。

  • 形態: 動詞語末に -(o)-ma を付加する。
  • 意味: 「~ですか?」

例文:

  •    
  • papha tanan tacæfyeũmwaloma.
  • 分解: papha tanan tacæfyeũmwal-oma
  • グロス: あなた 水 飲む-介入母音-伝達確認
  • 訳: 「あなたは水を飲んでいますか?」

1.2. 念押しの確認 (Confirmatory Question)

話し手が特定の証拠(視覚など)に基づいて状況を確信しており、相手に同意を求める場合に用いる。直接証拠性 (dh) などと組み合わせて使用する。

  • 形態: 動詞語末に -(o)-dh-ã-ma などを付加する。
  • 意味: 「~なのですよね?」

例文:

  •    
  • papha tanan tacæfyeũmwalodhãma.
  • 分解: papha tanan tacæfyeũmwal-o-dh-ã-ma
  • グロス: あなた 水 飲む-介入母音-直接証拠-肯定-伝達確認
  • 訳: 「あなたは水を飲んでいるのですよね?」

2. 内容疑問文

内容疑問文は、不定項語根 (Indefinite/Interrogative Root) を持つ名詞トークンを文中に配置することで形成される。この不定項語根が、質問の対象となる「未知の要素」を示す。

2.1. 不定項語根 k’-(-)

内容疑問文の基礎となる語根として k’ を設定する。

  • 語根: √k’  「[不定項]」
  • 機能:
    • k’ は単一子音の機能語根として機能し、格を付加することで様々な疑問詞(何、誰、どこ、なぜ、など)を形成する。
    • 統語的には、この疑問詞は答えとなる名詞が置かれるであろう、文中の同じ位置に配置される。

2.2. 疑問詞の形成例

不定項語根 k’ に様々な格接辞を付加することで、多様な疑問詞が作られる。

  • 何(を)? (What? / object):
    •  k’an (k’ + a [単数] + n [対格])
  • 誰(が)? (Who? / subject):
    •  k’apha (k’ + a [単数] + pha [能格])
  • どこ(で)? (Where? / location):
    •  k’aca (k’ + a [単数] + ca [在内格])
  • なぜ? (Why? / reason):
    •  k’ai (k’ + a [単数] + ‘i [因格])

2.3. 構文例

例文:

  •    
  • papha k’an tacæfyeũmwaloma.
  • 「あなたは何を飲んでいますか?」
  • 能格:  papha (あなたが)
  • 対格:  k’an (何を)
  • 動詞:  tacæfyeũmwaloma (飲んでいますか?)