格の例文

統語論格類 (Syntactic Cases) 9個の検証

以下の例文では、動詞は最も単純な能動態完了相(文法アスペクト)、瞬間相(語彙アスペクト)であると仮定する。

No. 格名 音素 役割 例文 (プリャンナ語訳は仮定) 検証ポイント
1. 能格 (Ergative) $\text{ph}\text{a}$ 意図的に動作を起こす主体。 $\text{I}{\text{pha}}$ $\text{hit}$ $\text{the ball}{\text{n}}$. (私が意図してボールを打った。) 意図性がマークされ、対格と区別される。
2. 自発格 (Spontaneous) $\text{tʃ}\text{hy}$ 意図のなく動作を起こす主体。 $\text{The wind}{\text{tʃhy}}$ $\text{broke}$ $\text{the window}{\text{n}}$. (風が勝手に窓を割った。) 非意図性・自然の力が能格と区別される。
3. 刺激格 (Stimulative) $\text{l}\text{i}$ 感情・感覚直接引き起こす主体。 $\text{The fear}{\text{li}}$ $\text{caused}$ $\text{me}{\text{sa}}$ $\text{to freeze}$. (恐怖が私をすくませた。) 経験者(経験格)と切り離された純粋な刺激源
4. 経験格 (Affective) $\text{s}\text{a}$ 感覚や感情経験する主体。 $\text{I}{\text{sa}}$ $\text{felt}$ $\text{the cold}{\text{li}}$. (私が寒さを感じた。) 行為者(能格)とは異なり、受動的な経験を示す。
5. 対格 (Accusative) $\text{n}$ 行為を経験し、状態が変化する主体。 $\text{I}{\text{pha}}$ $\text{killed}$ $\text{the bug}{\text{n}}$. (私が虫を殺した。) 状態変化を伴う対象であり、題格と区別される。
6. 題格 (Themaic) $\text{r}\text{a}$ 行為を経験するが状態が変化しない主体。 $\text{I}{\text{pha}}$ $\text{saw}$ $\text{the mountain}{\text{ra}}$. (私が山を見た。) 視覚対象だが、山自体の状態は変化しない
7. 具格 (Instrumental) $\text{fw}\text{a}$ 行為を実行するための具体的な道具 $\text{I}{\text{pha}}$ $\text{cut}$ $\text{the wood}$ $\text{with the axe}{\text{fwa}}$. (私が斧で木を切った。) 物理的な道具であり、手段格と区別される。
8. 手段格 (Methodical) $\text{v}$ 行為の抽象的な方法、手段 $\text{They}{\text{pha}}$ $\text{communicate}$ $\text{by telepathy}{\text{v}}$. (彼らがテレパシーを使って伝達する。) 非物理的な抽象概念を介在者として示す。
9. 因格 (Causative) $\text{i}$ ある行為が起こる理由や根拠 $\text{The traffic}{\text{i}}$ $\text{caused}$ $\text{us}{\text{n}}$ $\text{to be late}$. (渋滞のせいで私たちは遅れた。) 行為の直接の原因であり、道具(具格)や刺激(刺激格)と区別される。

統語論格の9個については、それぞれの役割が意図性、状態変化、物理性、抽象性によって明確に分離されている。特に、能格/自発格、対格/題格、具格/手段格の対立構造が強固である。

関係格 (Relative Cases) 11個の検証

関係格は、名詞句間の所有、起源、相互作用、比較といった抽象的な関係を定義する。それぞれの格が、既存の格や他の関係格と明確に分離しているかを検証する。

No. 格名 音素 役割 例文 (プリャンナ語訳は仮定) 検証ポイント
1. 与格 (Dative) $\text{m}\text{i}$ 受益者、目的。「〜に、〜のために」。 $\text{I}{\text{pha}}$ $\text{gave}$ $\text{the book}{\text{n}}$ $\text{to her}_{\text{mi}}$. (私が本を彼女に与えた。) 行為の間接的な受け手を示し、対格と区別される。
2. 奪格 (Ablative) $\text{n}\text{i}$ 抽象的な分離、起源。「〜から、〜のせいで」。 $\text{We}{\text{pha}}$ $\text{fled}$ $\text{from the war}{\text{ni}}$. (私たちは戦争から逃れた。) 非物理的な起源・分離であり、空間格の離脱格と区別される。
3. 属格 (Genitive) $\text{l}\text{a}$ 静的・記述的帰属(材質、主題、分類)。 $\text{This is}$ $\text{a ring}{\text{n}}$ $\text{of gold}{\text{la}}$. (これは金の指輪だ。) 所有権を含まず、材質という広義の帰属を示す。
4. 内属格 (Inalienable) $\text{h}\text{i}$ 本質的な不可分性(身体、人工物の部分)。 $\text{My}{\text{hi}}$ $\text{arm}{\text{n}}$ $\text{is broken}$. (私の腕が折れた。) 譲渡不可能な、本質的な部分であり、外属格と区別される。
5. 外属格 (Alienable) $\text{hw}\text{u}$ 可譲、一時的な所有(財産、道具)。 $\text{His}{\text{hwu}}$ $\text{car}{\text{n}}$ $\text{is new}$. (彼の車は新しい。) 譲渡可能な財産を示し、内属格と区別される。
6. 創出格 (Productive) $\text{v}’\text{o}$ 作者、行為の結果としての動的な起源 $\text{This is}$ $\text{a painting}{\text{n}}$ $\text{by the artist}{\text{v’o}}$. (これはその芸術家による絵だ。) 能動的な行為の結果としての所有・起源を示し、属格と区別される。
7. 分格 (Partitive) $\text{r}\text{o}$ 全体の内の部分、分量の抽出 $\text{I}{\text{pha}}$ $\text{drank}$ $\text{water}{\text{ro}}$. (私が水の一部を飲んだ。) 全体から一部を抜き取るという動的な行為に焦点を当てる。
8. 集合格 (Associative) $\text{ʑ}\text{e}$ 対象が特定の集合やクラスのメンバーシップ。 $\text{He}{\text{n}}$ $\text{is}$ $\text{a member}{\text{ra}}$ $\text{of the team}_{\text{ʑe}}$. (彼はそのチームの一員だ。) 所属関係を示し、所有権を示す属格とは異なり、分類としての帰属を強調。
9. 互格 (Reciprocal) $\text{tʃ}’\text{e}$ 双方向的、対称的な相互作用 $\text{They}{\text{pha}}$ $\text{spoke}$ $\text{to each other}{\text{tʃ’e}}$. (彼らは互いに話した。) 対称性をマークし、共格($\text{m}\text{u}$ / 意味論格)と区別される。
10. 基準格 (Referential) $\text{k}\text{æ}$ 比較、評価、判断の基準点。「〜よりも、〜を基準にして」。 $\text{She}{\text{n}}$ $\text{is faster}$ $\text{than him}{\text{kæ}}$. (彼女は彼よりも速い。) 比較の軸を明確に設定し、同格($\text{z}\text{i}$ / 意味論格)と区別される。
11. 役割格 (Translative) $\text{p}\text{y}$ 変化の結果としての役割、新しい状態。「〜として、〜に変わる」。 $\text{The ice}{\text{n}}$ $\text{turned into}$ $\text{water}{\text{py}}$. (氷が水へと変わった。) 状態変化の終着点としての新しいアイデンティティを示す。

関係格の11個は、所有の3分類(属格、内属格、外属格、創出格)と、相互作用/比較の対立(互格 vs. 基準格、集合格 vs. 属格)により、非常に細かく抽象的な関係を表現される。

意味論格 (Semantic Cases) 7個の検証

意味論格は、文脈や話し手の態度、あるいは動作の様態や付帯情報を補足する役割を持つ。これらの格が、統語論格や関係格と重複せずに、その役割を純粋に果たしているかを検証する。

No. 格名 音素 役割 例文 (プリャンナ語訳は仮定) 検証ポイント
1. 呼格 (Vocative) $\text{ʔ}\text{e}$ 直接的な呼びかけ、注意喚起。文法的な役割を持たない。 $\text{Hey, friend}_{\text{ʔe}}$! $\text{Come here}$. (友よ、ここに来い!) 文法構造から独立し、純粋な発話行為を示す。
2. 共格 (Comitative) $\text{m}\text{u}$ 行為を共に行う相手、あるいは同時に存在する付帯物。「〜と一緒に」。 $\text{I}{\text{pha}}$ $\text{went}$ $\text{with my dog}{\text{mu}}$. (私が私の犬と一緒に行った。) 行為を共に行う同伴者を示し、相互作用を示す互格と区別される。
3. 欠格 (Abessive) $\text{w}\text{o}$ 実体的なアイテムや概念の欠如。「〜なしで」。 $\text{I}{\text{pha}}$ $\text{cannot live}$ $\text{without hope}{\text{wo}}$. (私は希望なしで生きられない。) 欠如という意味論的な状態を示し、奪格(分離)とは異なる。
4. 様格 (Essive/Manner) $\text{ʂ}\text{u}$ 質的な状態や様態、行為の様子。「〜な様子で」。 $\text{She}{\text{pha}}$ $\text{runs}$ $\text{with grace}{\text{ʂu}}$. (彼女は優雅な様子で走る。) 行為の質を示し、手段格(方法)とは異なり、性質・状態を記述する。
5. 同格 (Equative) $\text{z}\text{i}$ 同等性、類似性。「〜と同じくらい、〜のように」。 $\text{He}{\text{n}}$ $\text{is strong}$ $\text{as a lion}{\text{zi}}$. (彼はライオンのように強い。) 類似の程度を示し、比較の軸を示す基準格とは異なる。
6. 限定格 (Terminative) $\text{d}’\text{o}$ 抽象的な限定範囲。「〜限りで、〜の範囲内で」。 $\text{I}{\text{pha}}$ $\text{agree}$ $\text{as far as this point}{\text{d’o}}$. (この点に限定して同意する。) 概念的な範囲の境界を設定し、論理的な限定を示す。
7. 観点格 (Perspectival) $\text{b}\text{i}$ 特定の視点、観点から物事を捉える。 $\text{From my perspective}{\text{bi}}$, $\text{it}{\text{n}}$ $\text{is wrong}$. (私の観点からすると、それは間違いだ。) 話し手または特定の主体の認知的な枠組みを設定する。

意味論格の7個は、文法的な核(主語、目的語)から切り離された、付加的な情報を明確に表現される。

  • 共格 vs 互格: 共格は同伴(AとBが一緒にCへ行く)、互格は対称的行為(AがBに、BがAに)と分離。
  • 様格 vs 手段格: 様格は質/状態(優雅に走る)、手段格は媒介/方法(テレパシーで伝達)と分離。
  • 同格 vs 基準格: 同格は類似性(〜のように)、基準格は比較軸(〜よりも)と分離。

空間格 (Spatial Cases) 24個の検証

空間格は、幾何学的なマトリクス(16個)特殊な抽象空間格(8個)に分けて検証する。この検証により、空間的表現の網羅性を確認する。

I. 幾何学・移動マトリクス (16個) の検証

このマトリクスは、4つの位置(内部、表面、隣接、境界)と4つの運動(静止、経由、源泉、到達)の組み合わせで、基本的な物理空間を厳密に定義する。

位置 $\downarrow$ / 運動 $\rightarrow$ 静止 ($\text{C}\text{a}$) 経由 ($\text{C}\text{u}$) 源泉 ($\text{C}\text{i}$) 到達 ($\text{C}\text{o}$)
内部 ($\text{dž}, \text{t}$) $\text{dž}a$ (在内格): $\text{The key}{\text{n}}$ $\text{is in the box}{\text{dža}}$. $\text{dž}u$ (経内格): $\text{The light}{\text{ra}}$ $\text{passed through the fog}{\text{džu}}$. $\text{t}i$ (脱出格): $\text{The mouse}{\text{n}}$ $\text{came out of the wall}{\text{ti}}$. $\text{t}o$ (侵入格): $\text{He}{\text{pha}}$ $\text{went into the house}{\text{to}}$.
境界 ($\text{l}, \text{č}$) $\text{l}\text{a}$ (在境格): $\text{The sign}{\text{n}}$ $\text{is on the line}{\text{la}}$. $\text{l}\text{u}$ (経境格): $\text{The car}{\text{ra}}$ $\text{drove along the edge}{\text{lu}}$. $\text{č}\text{i}$ (離境格): $\text{The water}{\text{n}}$ $\text{dripped from the edge}{\text{či}}$. $\text{č}\text{o}$ (接近境格): $\text{We}{\text{pha}}$ $\text{approached the boundary}{\text{čo}}$.
表面 ($\text{g}, \text{f}$) $\text{g}a$ (在表格): $\text{The book}{\text{n}}$ $\text{is on the table}{\text{ga}}$. $\text{g}u$ (経表格): $\text{The bug}{\text{ra}}$ $\text{crawled across the floor}{\text{gu}}$. $\text{f}i$ (離脱格): $\text{The paint}{\text{n}}$ $\text{peeled from the wall}{\text{fi}}$. $\text{f}o$ (着地格): $\text{The glass}{\text{n}}$ $\text{landed on the roof}{\text{fo}}$.
隣接 ($\text{k}, \text{x}$) $\text{k}a$ (在隣格): $\text{The dog}{\text{n}}$ $\text{stood next to the door}{\text{ka}}$. $\text{k}u$ (経隣格): $\text{I}{\text{pha}}$ $\text{walked past the building}{\text{ku}}$. $\text{x}i$ (回避格): $\text{He}{\text{pha}}$ $\text{steered away from the cliff}{\text{xi}}$. $\text{x}o$ (接近格): $\text{The ship}{\text{n}}$ $\text{came near the port}{\text{xo}}$.

II. 特殊な抽象空間格 (8個) の検証

これらの格は、幾何学的な座標を超えた、抽象的、論理的、または普遍的な空間概念を表現する。

No. 格名 音素 役割 例文 (プリャンナ語訳は仮定) 検証ポイント
17. 中間格 (Intermediary) $\text{m}\text{õ}$ 2項以上の対象間の非対称的な仲介空間。 $\text{He}{\text{n}}$ $\text{stood}$ $\text{between the two houses}{\text{mõ}}$. 2項間の非対称な中間位置を表現。
18. 相対格 (Relative) $\text{r}\text{æ}$ 運動の幾何学的基準、空間的な比較尺度。 $\text{The satellite}{\text{n}}$ $\text{revolves}$ $\text{around the Earth}{\text{ræ}}$. 円周運動など、特定の基準に対する位置関係を定義。
19. 外部格 (Exterior) $\text{j}\text{ẽ}$ 集合 $A$ の純粋な外部 ($\text{Ext } A$)。 $\text{They}{\text{pha}}$ $\text{hid}$ $\text{outside the city}{\text{jẽ}}$. 境界に触れない、厳密な外部領域を示す。
20. 虚無格 (Void) $\text{ʔ}\text{ã}$ 非存在としての空間、論理的な「無」への言及。 $\text{The hope}{\text{n}}$ $\text{vanished into nothingness}{\text{ʔã}}$. 概念的な消滅先、場所のない場所を表現。
21. 不可知格 (Unknowable) $\text{k}’\text{æ}\text{̃}$ 認知不能な場所、空間として定義不能な領域。 $\text{The entity}{\text{n}}$ $\text{came from}$ $\text{the outer cosmos}{\text{k’æ̃}}$. 人間の認識限界を超える起源・場所を表現。
22. 時空格 (Spacetime) $\text{t}’\text{i}$ 4次元時空における単一の事象点(静止位置)。 $\text{The event}{\text{n}}$ $\text{occurred}$ $\text{at that specific coordinate}{\text{t’i}}$. 時間と空間が統合された一点を厳密に指定。
23. 配分格 (Distributive) $\text{dʒ}’\text{a}$ 対象が集合の各要素に均等に配分されること。 $\text{I}{\text{pha}}$ $\text{gave}$ $\text{a candy}{\text{n}}$ $\text{to each child}_{\text{dʒ’a}}$. 分配の行為が空間的に展開する様相を表現。
24. 全域格 (Ubiquitous) $\text{ʂ}\text{i}$ 存在する全ての空間、普遍的な場所。 $\text{God}{\text{n}}$ $\text{is present}$ $\text{everywhere}{\text{ʂi}}$. 普遍的な存在性を空間的な帰属として表現。

空間格の24個は、以下の2軸で表現を完全に網羅している。

  1. 幾何学的厳密性: 16個のマトリクスは、内部、表面、隣接、境界という基本的な位相幾何学を静止、経由、源泉、到達という物理法則に厳密に適用している。
  2. 抽象的拡張性: 特殊な8個の格は、論理、哲学、数学、物理学の概念(虚無、不可知、時空、普遍性)を空間表現に組み込み、プリャンナの設計目標(認知の限界を超える)を達成している。

⏳ 時間格 (Temporal Cases) 8個の例文と検証

時間格は、出来事が時間軸上のどの位置、どの区間、どのパターンで発生するかを定義する。この検証により、時間的表現の網羅性と、他の格との分離を確認する。

No. 格名 音素 役割 例文 (プリャンナ語訳は仮定) 検証ポイント
1. 時点格 (Punctual) $\text{r}\text{e}$ 時間軸上の単一の点(時刻、瞬間)。 $\text{I}{\text{pha}}$ $\text{left}$ $\text{at 5 o’clock}{\text{re}}$. (私が5時に出発した。) 厳密な一点を指定し、期間格と区別される。
2. 期間格 (Durational) $\text{p}\text{u}$ 時間軸上の開いた区間(継続、開始・終了を含まない)。 $\text{I}{\text{pha}}$ $\text{worked}$ $\text{for three years}{\text{pu}}$. (私が3年間ずっと働いた。) 継続する行為の長さを指定し、始点・終点は含まない。
3. 始点格 (Initial) $\text{tʃ}\text{yo}$ 時間軸上の開始境界(時間の起源、From $t_0$)。 $\text{It has been raining}$ $\text{since yesterday}_{\text{tʃyo}}$. (昨日から降り続いている。) 期間の開始点をマークし、時点格とは異なる。
4. 終点格 (Terminal) $\text{x}\text{e}$ 時間軸上の終了境界(時間の極限、Until $t_1$)。 $\text{We}{\text{pha}}$ $\text{will wait}$ $\text{until tomorrow}{\text{xe}}$. (私たちは明日まで待つ。) 期間の終了点をマークし、時点格とは異なる。
5. 頻度格 (Frequency) $\text{l}\text{ẽ}$ 時間軸上の周期性や反復パターン $\text{This is}$ $\text{a weekly habit}_{\text{lẽ}}$. (これは毎週の習慣だ。) 時間軸上の繰り返しパターンに焦点を当てる。
6. 先行格 (Anterior) $\text{o}\text{i}$ イベントを基準とした過去の相対的な位置。「〜の前に」。 $\text{Prepare}$ $\text{before dinner}_{\text{oi}}$. (夕食の前に準備せよ。) 基準となるイベント(食事)よりもの時間を指定。
7. 後続格 (Posterior) $\text{o}\text{u}$ イベントを基準とした未来の相対的な位置。「〜の後に」。 $\text{Report}$ $\text{after the meeting}_{\text{ou}}$. (会議の後に報告せよ。) 基準となるイベント(会議)よりもの時間を指定。
8. 同時格 (Simultaneous) $\text{a}\text{u}$ 複数のイベントの時間的な共有(同期)。 $\text{The bell rang}$ $\text{at the same time as the phone}_{\text{au}}$. (電話と同時にベルが鳴った。) 複数の動作の時間的な同期性に焦点を当てる。

時間格の8個は、以下の対立構造により、時間の表現を完全に網羅できている。

  1. 絶対的参照: 時点格 (一点) と 期間格 (区間)
  2. 境界参照: 始点格 (開始) と 終点格 (終了)
  3. 相対的参照: 先行格 (前) と 後続格 (後)
  4. 特殊構造: 頻度格 (周期) と 同時格 (同期)