論理
論理範疇はプリャンナでどのように表現されるか？
論理演算子（含意、同値）は法の範疇では表現されず、別の形態で扱っている。法の範疇ではより純粋な「様相」と「認識」に特化して設計されている。
また、様相論理（義務論理、認識論理、時相論理）や非古典論理（直観主義、ファジィ）の概念も含まれる。
1. 論理的構造の表現手段
| 論理 | 法・形態 | スロット |
|---|---|---|
| 命題論理 (含意 $\rightarrow$, 同値 $\leftrightarrow$) | 法では扱わない | 意味派生 (Semantic Derivation, スロット 2): 語彙レベルで動詞を「関係動詞」化するのに最適。接続詞としても機能させる。 |
| 様相論理 (可能性 $\Diamond$, 必然性 $\Box$) | 必然法 ($\text{g}$), 可能性法 ($\text{h}$) | 法 (Mood, スロット 7): 話し手の命題への認識態度を表すため、最適。 |
| 義務論理 (義務 $\text{O}$, 許可 $\text{P}$) | 命令法 ($\text{t}$), 許容法 ($\text{z}$) | 法 (Mood, スロット 7): 強い働きかけと社会的な容認をカバーしているため、十分。 |
| 認識論理 (知っている $\text{K}$, 信じている $\text{B}$) | 蓋然法 ($\text{m}$) | 証拠性 (Evidentiality, スロット 11): 情報源と確信度を扱うため、最適。 |
| 時相論理 (過去のある時 $\text{P}$, 未来のある時 $\text{F}$) | 時制 ($\text{w}\text{V}$), 時間格類 | 時制 (Tense, スロット 6) および 時間格: 既に時間枠を完全にカバーしているため、法で扱う必要はない。 |
2. 非古典論理のカバー
A. 直観主義論理 (Intuitionistic Logic)
古典論理と異なり、「排中律 ($\text{P} \vee \neg \text{P}$) は成り立たない」とし、証明されたもののみを真と見做す論理。
- カバー方法: 証拠性 (Evidentiality, スロット 11) を設計する際に、「証明された証拠」や「構成的証明」を示す証拠性マーカーを導入することで対応できる。
B. ファジィ論理 (Fuzzy Logic)
真理値が ${0, 1}$ ではなく、連続的な $[0, 1]$ の範囲で表現される論理。
- カバー方法: 蓋然法 ($\text{m}$) を拡張する。蓋然法自体は高い確信度を示すが、これを限定格（スロット28）や数量詞と組み合わせることで、確率的な真理値（例: $0.7$ の真理値で〜だろう）を表現できるように統語論を設計する。
3. 法 (Mood) の表しうる論理
| No. | 法の名称 | 音素 ($\text{C}$) | 役割 | 論理的カテゴリ |
|---|---|---|---|---|
| 1. | 直説法 | $\text{l}$ | 中立的な事実（デフォルト） | 現実性 |
| 2. | 蓋然法 | $\text{m}$ | 内部認識（高い確信の推測） | 認識論理 / ファジィ |
| 3. | 仮定法 | $\text{p}$ | 仮説の境界（非現実の仮説） | 論理構造 |
| 4. | 命令法 | $\text{t}$ | 最も強い強制 | 義務論理 |
| 5. | 要請法 | $\text{s}$ | 丁重な依頼 | 義務論理 |
| 6. | 勧誘法 | $\text{k}$ | 共同行動の提案 | 義務論理 |
| 7. | 祈願法 | $\text{r}$ | 運命への期待（強い願望） | 義務論理 |
| 8. | 許容法 | $\text{z}$ | 境界の緩和（許容） | 義務論理 |
| 9. | 必然法 | $\text{g}$ | 論理的な必然性 ($\Box$) | 様相論理 / 義務論理 |
| 10. | 公理法 | $\text{f}$ | 定義、自明の真理 | 論理構造 |
| 11. | 可能性法 | $\text{h}$ | 論理的な可能性 ($\Diamond$) | 様相論理 |