文法

lamali

現行文法は ver.0.51 (2024-03-24)。


1. 音韻論

1.1 音素

カタパイ語の各音素は子音(consonants)母音(vowel)から構成される。

カタパイ語では独自のアブギダ「花影(かえい)文字」を使用する。また、ラテン文字またはキリル文字での転写も用いられる。ラテン字転写で使う文字は以下の通り。

  • 母音:a, e, i, o, u
  • 子音:p, t, k, f, s, h, c, m, n, q, r, l, y, w, x, pw, mw, ny

1.1.1 母音

カタパイ語で用いられる母音は以下の5つ。

花影文字 ラテン文字 キリル文字 標準音価 読み
a a а [a]
e e е [e]
i i и [i]
o o о [o]
u u у [u]

1.1.2 子音

カタパイ語で用いられる子音は以下の18個。

花影文字 ラテン文字 キリル文字 標準音価 読み
p p п [p] ぱ行
t t т [t] た行
k k к [k] か行
f f ф [f] ふぁ行
s s с [s] さ行
h h х [h] は行
c c ц [ts] つぁ行
m m м [m] ま行
n n н [n] な行
g g г [ŋ] か゚行
r r р [r] ら行
l l л [l] ら行
y y й [j] や行
w w в [w] わ行
x x ш [ʃ] しゃ行
pw pw [pʷ] ぷゎ行
mw mw [mʷ] むゎ行
ny ny [ɲ] にゃ行

1.2 文字

カタパイ語は通常「花影文字」で表記される。 花影文字は18種の字母(+無子音字母)からなる音節文字である。 母音記号がない場合は、母音 a が伴っているものとして読まれる。 他の母音(e i o u)を伴わせたい場合は、母音記号を付加することで示す。 また、無母音記号を加えると子音単体としての音を表すことができる。

p t k f s h c m n g r l y w x pw mw ny
q p t k f s h c m n g r l y w x pw mw ny
a a pa ta ka fa sa ha ca ma na ga ra la ya wa xa pwa mwa nya
e e pe te ke fe se he ce me ne ge re le ye we xe pwe mwe nye
i i pi ti ki fi si hi ci mi ni gi ri li yi wi xi pwi mwi nyi
o o po to ko fo so ho co mo no go ro lo yo wo xo pwo mwo nyo
u u pu tu ku fu su hu cu mu nu gu ru lu yu wu xu pwu mwu nyu

1.3 音節

V、CV、CVC(稀)の3パターン。

1.3.1 n-y融合

n y の並びが語に含まれる場合は、ny という一つの子音として扱われる。 綴りの上でも ny のように表記され、[ɲ]のように発音される。

1.4 アクセント

アクセントによる語の弁別は行わない。


2. 形態論

2.1 品詞分類

品詞は以下の6種類がある:

  • 名詞 noun
  • 動詞 verb
  • 形容詞 adjective
  • 副詞 adverb
  • 接続詞 conjugation
  • 心態詞 attitudinal

このうち、名詞・動詞・形容詞・副詞は可換詞、接続詞・心態詞は機能詞に分類される。

2.1.1 可換詞

カタパイ語の品詞のうち、名詞動詞形容詞副詞の4つは可換詞である。 これらは相互に、かつ自由に品詞転換が可能。各品詞の語尾は概ね、 名詞:-i (-i) 、 動詞:-a (-a) 、 形容詞:-e (-e) 、 副詞:-u (-u) または-o (-o) で、語尾によって品詞を判別することができる。 通常、名詞語尾-i (-i) は、題目、名詞句(無述語文)、呼応の表現に必須で、格変化をする際には辞書形が用いられる。

品詞語尾 品詞
-i -i 名詞
-a -a 動詞
-e -e 形容詞
-u -u 副詞

2.1.2 機能詞

接続詞・心態詞の2つは機能詞である。 可換詞とは違い品詞転換は出来ず、接続詞なら接続表現、心態詞なら心態表現、のように、これらは文中の機能が固定されている。

2.2 可換詞の語形変化

可換詞の活用の形は辞書形の語尾に従ってI型~VII型の7種類に分けられ、それぞれに変化のパターンが存在する。

7種の語幹には、それぞれ以下のような特徴がある:

  • I型:a幹
  • II型:e幹
  • III型:i幹
  • IV型:o幹
  • V型:u幹
  • VI型:連母音幹
  • VII型:子音幹(固有語では-n, -yのみ)

辞書形 動詞形 形容詞形 副詞形 名詞形
I -a (-a) -aa (-aa) -ae (-ae) -au (-au) -ai (-ai)
II -e (-e) -a (-a) -ee (-ee) -o (-o) -i (-i)
III -i (-i) -ia (-ia) -ee (-ee) -iu (-iu) -ii (-ii)
IV -o (-o) -uwa (-uwa) -uwe (-uwe) -o (-o) -i (-i)
V -o (-u) -uwa (-uwa) -uwe (-uwe) -uu (-uu) -i (-i)
VI - (-) -la (-la) -le (-le) -lu (-lu) -li (-li)
VII-n -n (-n) -nna (-nna) -nne (-nne) -nnu (-nnu) -nni (-nni)
VII-y -y (-y) -yya (-yya) -yye (-yye) -yyu (-yyu) -yyi (-yyi)

2.2.1 I型可換詞(a幹)

I型可換詞は辞書形語尾が -a (-a)の母音で終わる。

言語 暖かい ある
辞書形 katapa rara mega
動詞幹 katapaa raraa megaa
形容詞幹 katapae rarae megae
副詞幹 katapau rarau megau
名詞幹 katapai rarai megai

2.2.2 II型可換詞(e幹)

II型可換詞は辞書形語尾が -e (-e)の母音で終わる。

仲間 良い 泳ぐ
辞書形 tare lele afe
動詞幹 tara lela afa
形容詞幹 taree lelee afee
副詞幹 taro lelo afo
名詞幹 tari leli afi

2.2.3 III型可換詞(i幹)

III型可換詞は辞書形語尾が -i (-i)の母音で終わる。

熱い 砕く
辞書形 tari pweci ripi
動詞幹 taria pwecia ripia
形容詞幹 taree pwecee ripee
副詞幹 tariu pweciu ripiu
名詞幹 tarii pwecii ripii

2.2.4 IV型可換詞(o幹)

IV型可換詞は辞書形語尾が -o (-o)の母音で終わる。

丸い 座る
辞書形 goro pwono maaso
動詞幹 goruwa pwonuwa maasuwa
形容詞幹 goruwe pwonuwe maasuwe
副詞幹 goro pwono maaso
名詞幹 gori pwoni maasi

2.2.5 V型可換詞(u幹)

V型可換詞は辞書形語尾が -u (-u)の母音で終わる。

満ちた 消える
辞書形 kayu wawu kunu
動詞幹 kayuwa wawuwa kunuwa
形容詞幹 kayuwe wawuwe kunuwe
副詞幹 kayuu wawuu kunuu
名詞幹 kayi wawi kuni

2.2.6 VI型可換詞(連母音幹)

VI型可換詞は辞書形語末が2連続以上の母音で終わる。

硬い 占う
辞書形 yaa matoa pwee
動詞幹 yaala matoala pweela
形容詞幹 yaale matoale pweele
副詞幹 yaalu matoalu pweelu
名詞幹 yaali matoali pweeli

2.2.7 VII型可換詞(子音幹)

-n で終わる可換詞(tuman、kan、hin、man、pwon)、格抱合によって生成された -y で終わる可換詞、子音で終わる外来語はVII型の変化をする。

生き物 食べ物 日本
辞書形 man kagisey nihon
動詞幹 manna kagiseyya nihonna
形容詞幹 manne kagiseyye nihonne
副詞幹 mannu kagiseyyu nihonnu
名詞幹 manni kagiseyyi nihonni

2.3 名詞の格

カタパイ語の名詞は、生格(genitive)殺格(necative)与格(dative)奪格(ablative)の4つ。
それぞれ辞書形に格接辞-nin (-nin)、-se (-se)、-yo (-yo)、-ten (-ten) を繋げて用いる。語末が格語尾であるものは名詞扱いになる。 これらの格は、概ね次のような意味を表す。

格接辞 意味
-nin -nin 生格 〜は生まれる
-se -se 殺格 〜は殺される
-yo -yo 与格 〜は与えられる
-ten -ten 奪格 〜は奪われる

なお、カタパイ語の生格を一般的な属格的な「〜の」の意味には使わない。 名詞の性質を表現する意味での「~の」は形容詞を用いる。 また、所有の意味の「~の」は所有代接辞を用いる。

2.3.1 生格・殺格の基本イメージ

生格と殺格は、対象存在の有無、あるいは対象の生成と消滅に関する双対概念である。

動詞で表される行為により発生する、あるいは存在する対象は生格 -nin (-nin)で表す。 対称的に、動詞で表される行為により消滅する、あるいは存在しない対象は殺格 -se (-se)で表す。

gennec

2.3.2 与格・奪格の基本イメージ

与格と奪格は、何らかの要素を受け渡す対象についての双対概念である。

何らかの要素を受け取る対象は与格 -yo (-yo)で表現する。 一方で、何らかの要素を放出する、または奪われる対象は奪格 -ten (-ten)で表現する。

与格対象・奪格対象間でやり取りされる「要素」自体は、状況に応じて生格、殺格、または題目としての名詞が用いられる。

databl

2.3.3 生格用法

  • 主体生格
  • 生成生格

2.3.4 殺格用法

  • 停止殺格
  • 消失殺格
  • 変化殺格
  • 廃棄殺格

2.3.5 与格用法

  • 供与与格
  • 方向与格

2.3.6 奪格用法

  • 方向奪格
  • 分離奪格

2.3.7 格抱合

格抱合(case incorporation)により格含みの意味を包含した可換詞を作ることができる。

格抱合接辞 大まかな意味
-niy -niy 生格 「~により生じさせられる対象」
-sey -sey 殺格 「~により消滅させられる対象」
-yoy -yoy 与格 「~により何かを与えられる対象」
-tey -tey 奪格 「~により何かを奪われる対象」

辞書形に格抱合接辞をつけて作る。例えば、cigi-(cigi-)「書く(こと)」に与格抱合接辞 -yoy(-yoy)を抱合させて新たな語幹 cigiyoy-(cigiyoy-)「内容を書き下す先の媒体(=紙など)」を構成する。

格抱合で新たに生まれた語幹は、VII型可換詞として振る舞う。

2.4 接辞

カタパイ語では、可換詞に接辞を接続させることで、語義を派生させることができる。

2.4.1 一般接辞

カタパイ語における一般接辞は接頭辞で、可換詞の前に付けて特定の意味を表すことができる。 例えば、接頭辞 ri- (ri-)「~の人」は、氏族、国家、場所、形容詞的な語彙(あるいは語義を形容詞的に解釈して)に接続する。

  • ripwuce (ripwuce)
    「愚か者」

2.4.2 所有接辞

所有接辞を語根の語尾に付属させることで所有関係を表すことができる。

所有接辞は全8つあり、 1人称単数 -hu (-hu)「私の~」、 2人称単数 -mwu (-mwu)「あなたの~」、 3人称単数 -nya (-nya)「彼/彼女/それの~」、 1人称複数包含 -ca (-ca)「(あなたと)私たちの~」、 1人称複数除外 -kayi (-kayi)「私たちの~」、 2人称複数 -kamwu (-kamwu)「あなたたちの~」、 3人称複数 -ira (-ira)「彼ら/彼女ら/それらの~」、 と、一般の語根の所有や所有者を明示しない 4人称 -ni (-ni)「何かの~」 がある。

所有接辞 人称
-hu -hu 1sg
-mwu -mwu 2sg
-nya -nya 3sg
-ca -ca 1pl incl
-kayi -kayi 1pl excl
-kamwu -kamwu 2pl
-ira -ira 3pl
-ni -ni 4g

4人称以外では所有接辞の直後に格接辞や品詞語尾を付す。4人称所有の場合は後続の名詞に付す。

2.5 代可換詞

代可換詞は可換詞の代わりに用いられる単語であり、人称代可換詞指示代可換詞不定代可換詞がある。 文法的な振る舞いは一般の可換詞と同じ(つまり、名詞・動詞・形容詞・副詞になりうる)。

2.5.1 人称代可換詞

話し手を指す一人称、受け手を指す二人称、それ以外の人、物を指す三人称を区別する。 また、単数と複数を区別する。

人称代名詞 人称
ga ga 1sg
ko ko 2sg
ia ia 3sg
kita kita 1pl incl
kamami kamami 1pl excl
kamwu kamwu 2pl
i i 3pl

2.5.2 指示代可換詞

カタパイ語には、近称中称遠称定称の4つの指示代可換詞がある。

指示代名詞 備考
ee ee これ(近称) 話者の近く
ena ena それ(中称) 相手の近く
are are あれ(遠称) 話者&相手から離れている
oo oo 例のアレ(定称) ここに存在しないか、過去のもの

2.5.3 不定代可換詞

不定代可換詞 hin (hin)を用いて、具体的な内容を伴わない「何か」の意味を表現できる。

  • hinna hinyo.
    hinna hinyo.
    「なんかに対してなんかしらする」

2.6 接続詞

接続詞は、文と文、節と節、語と語を繋ぐ。 順接はma (ma)、逆接はgae (gae)を用いる。

  • xake ma siwo (xake ma siwo)
    「上と下」

ro は A ro B で「BのようにA」の意味。

2.7 心態詞

心態詞は、祈祷・要請・指令・希望・勧誘といった、聞き手に対する意図を表す。常に文頭、動詞より前に置かれる。

敬体命令 敬体禁止 常体命令 常体禁止 蔑体命令 蔑体禁止
-te -te -ta -ta -re -re -ra -ra -ne -ne -na -na
祈祷 maya- maya- mayate mayate mayata mayata mayare mayare mayara mayara mayane mayane mayana mayana
要請 yasu- yasu- yasute yasute yasuta yasuta yasure yasure yasura yasura yasune yasune yasuna yasuna
指令 ane- ane- anete anete aneta aneta anere anere anera anera anene anene anena anena
希望 wufu- wufu- wufute wufute wufuta wufuta wufure wufure wufura wufura wufune wufune wufuna wufuna
勧誘 fanau- fanau- fanaute fanaute fanauta fanauta fanaure fanaure fanaura fanaura fanaune fanaune fanauna fanauna
許容 furu- furu- furute furute furuta furuta furure furure furura furura furune furune furuna furuna

2.8 動詞の相

瞬間相・習慣相・継続相・継続習慣相の4つがある。

形態 解説
瞬間相 (無変化) kilaa kilaa 「知る」
習慣相 頭1音節反復 kikilaa kikilaa 「いつも知る」
継続相 頭2音節反復 kilakilaa kilakilaa 「知っている」
継続習慣相 頭1音節+頭2音節反復 kikilakilaa kikilakilaa 「いつも知っている」

大まかな意味としては、瞬間相は単発動作、習慣相は間を空けて反復する動作、瞬間相は一定時間ずっと行う動作。

2.9 動詞の態

能動態、使役態、自発態、使役自発態の4つがある。

形態 解説
能動態 R-la kilaa kilaa 「知る」
使役態 ha-R-la hakilaa hakilaa 「知らせる」
自発態 R-la-ki kilaaki kilaaki 「知られる」
使役自発態 ha-R-la-ki hakilaaki hakilaaki 「知らせらせる」

2.8節の動詞の相と併せて、使役自発態継続習慣相のような曲用も可能。

  • hakikilakilaaki
    hakikilakilaaki
    「いつも知らさせられている」

2.10 数体系

カタパイ語の数は十進法で表現される。

数字 カタパイ語名 解説
0 aapwa aapwa 零、0
1 te te 一、1
2 rua rua 二、2
3 telu telu 三、3
4 fagi fagi 四、4
5 lima lima 五、5
6 wono wono 六、6
7 fitu fitu 七、7
8 walu walu 八、8
9 xiwa xiwa 九、9
10 gawulu gawulu 十、10
100 pwukiwa pwukiwa 百、100
1000 garatu garatu 千、1000

文法的には可換詞の扱いで、2桁以上の数は数量限定複合・並列複合(2.10で後述)による複合語扱いとなる。 音声表記する場合は、分かりやすさの為に桁ごとにハイフンを挿入できる(なくてもよい)。

  • tegaratu-ruapwukiwa-telugawulu-fagi
    tegaratu-ruapwukiwa-telugawulu-fagi
    「1234 (1234)」
つまり、文字通りには「一つの千と二つの百と三つの十と四」と解釈できる。

2.10.1 分数

カタパイ語では、0より大きく1未満の数量を表すには分数を用いる。小数は使われない。
分数は分子-ni(ni)-分母で表す。文法的には所有複合(2.10で後述)扱い。

  • telunifagi
    telunifagi
    「4分の3」
数字表記をする場合は、分母と分子を.で区切る。また、合成語を形成する場合は-で繋ぐ。
  • 1.2-tano
    teniruatano
    「大地の半分」

2.11 複合語

並列・格限定・数量限定・所有。格限定・数量限定は前置修飾的に複合語を形成する。

解説
並列 等位関係や対立関係にある2つを並べて表す。 lelepwusa (lelepwusa)
「良し悪し」
格限定 後半に対して前半が格の関係にあることを表す。 pwonnukila (pwonnukila)
「全知」
数量限定 前半が後半の数量を表す。 telumauri (telumauri)
「3つの命」
所有 後半が前半を所有することを表す。 waeniaramata (waeniaramata)
「人の足」

2.11.1 並列複合語

2単語をそのまま並べる。

2.11.2 格限定複合語

格の関係にある2単語を、格限定接辞を挟んで並べる。

格限定接辞
-nu- -nu- 生格
-su- -su- 殺格
-yu- -yu- 与格
-tu- -tu- 奪格

つまり、pwonnukila (pwonnukila)「全知」を動詞述語文に直すと、 kilaa pwonnin (kilaa pwonnin)「全てを知る」ということを表している。

2.11.3 数量限定複合語

何らかの単語に、数を表す単語を前置させる。

2.11.4 所有複合語

被所有者、所有者の2単語の間に所有接辞-ni-(-ni-)を挟む。 単純な所有関係だけでなく、分数表現(2.9.1節)や可能の表現にも使われる。

  • konanikagia
    konanikagia (< kona-ni-kagi-a)
    「食べることができる」


3. 統語論

3.1 基本語順

類型論的にはVSO-NA語順(動詞・主語・目的語/被修飾語・修飾語)もしくはVOS-NA語順(動詞・目的語・主語/被修飾語・修飾語)が支配的である。 ただしカタパイ語では主語や目的語を規定しておらず、生殺与奪格の範疇で語順が定まるため、主語・目的語の語順は一定ではないともいえる。 また、文全体において名詞の呼応用法を用いて題述構造(題目・述部)をとることがある。

3.2 無述語文

本の題名など、述語が存在しない文を無述語文と呼ぶ。 このとき主名詞には名詞形を用いる。

  • riliatarii peyatae
    riliatarii peyatae
    「灰かぶり(シンデレラ)」 (灰娘 < 独:Aschenputtel)

3.3 名詞述語文

述語が名詞句で構成される文を名詞述語文と呼ぶ。この時の基本語順は「題目名詞―述部名詞」となる(「AはBである」は「A B」)。 このとき、題目名詞と述部名詞の両方に名詞形を用いる。

  • gai katuuli.
    gai katuuli.
    「吾輩は猫である」

3.4 動詞述語文

述語が動詞句で構成される文を動詞述語文と呼ぶ。 この時の基本語順は「動詞―生格―殺格―与格―奪格」となるが、名詞句の語順は自由に入れ替えてよい。

3.5 接続詞の用法

接続詞 ma (ma)は一部の副詞と組み合わせて特殊な意味合いを持つことがある。

  • A, ma B pwalu ~ (A, ma B pwalu ~)
    「A、なぜなら(~を)Bするから」
  • A ma B pwalalu (A ma B pwalalu)
    「AもBも」

3.6 関係節

関係節は、順接の接続詞 ma と近称指示代可換詞 ee を用いて表現する。 eeは関係節内の文法的役割にしたがって活用される。 基本的に直前の語彙を修飾するので、適宜主節の語順は入れ替える。 直前の単語ではなく、前回 ee で参照した同じ単語を修飾したい場合は遠称指示代可換詞 are を用いる。

3.7 形容詞・副詞による修飾

原則、後置修飾であり、

  • 形容詞は名詞(名詞句)を修飾する。
  • 副詞は動詞、形容詞、副詞を修飾する。
ただし、pwalaluのみ例外として接続詞maを修飾しうる。

modification

つまり、

    A-i B-e C-e (A-i B-e C-e)
は、C-eが"A-i B-e"全体を修飾し、「C-eな[B-eなA-i]」という意味になる。一方で、
    A-i B-e C-u (A-i B-e C-u)
では、C-uはB-eのみを修飾し、「[C-u的にB-e]なA-i」という意味になる。もし、BとCを並列でAに修飾させたいときには、
    A-i B-e ma C-e (A-i B-e ma C-e)
のように、接続詞ma (ma)を挿入することで、「B-eな、そしてC-eなA-i」という意味を表すことができる。


4. 語彙

4.1 辞書

カタパイ語辞典では、カタパイ語の各単語を検索、閲覧、花影文字の綴りを確認することができます。
こちら(外部サイト)でも公開中。

4.2 外来語転写規則

外来語はカタパイ語の音素のみを用いて、綴りではなく発音に沿って転写される。文法的には可換詞扱い。

4.2.1 化学物質名

IUPACに従う。語末のeは削除する。原子、単体はラテン語からの転写とする。

  • karponium
    karponium (< 羅:carbonium)
    「炭素」
  • 2,4,6-trinitrotoluen
    2,4,6-trinitrotoluen
    「2,4,6-トリニトロトルエン(TNT)」

4.3 慣用表現

挨拶など、慣用表現の一覧。

mayare koi/kamwi: お疲れ様(カジュアルな言い方)
mayate koi/kamwi: お疲れ様です(フォーマルな言い方)